裁ちばさみを研いでもらった

 

私の裁縫箱に入っている裁ちばさみは母からパクったもらったものだ。

母の旧姓が書いてあるので40年前くらいから使われているものだと思う。

小学校で買った裁縫セットに入っていたはさみが切れなくなったので、交換してもらったのだ。

 

布の裁断はほとんどロータリーカッターでしているのだが、縫ってから端を切り揃える必要があるときは、はさみが必要だ。

私が縫うときの端処理は袋縫いが多いので服などの大きいものを縫うようになってから、はさみの切れ味がだんだんと気になってきた。

シルバー人材センターなどの「包丁、はさみ研ぎ」のノボリを見たことがあったのではさみを研げることは知っていた。

鋼の包丁は気になったときに合羽橋で研ぎに出しているのだけど、はさみを研いでもらったことはない。

合羽橋は遠いので、コロナが収束するまで気軽に遊びに行く気分にはなりづらい。

 

新しいものを買おうかとも思ったけれど、メンテナンスすれば使えるものを捨てるのももったいない。

燃やせない素材のものを買うときは少し立ち止まって考えることにしている。

石油であれ鉱物であれ、人間の生きるサイクルより格段に長い時間をかけて作られるものだ。

人間がポイポイと使い捨てしていいわけがない。

現代に生きて便利に慣れている私はプラスチックフリーな生活はできないけれど、少しでも無駄なごみを出さない暮らしのほうが気持ちいいと思う。

 

そう思ったので、はさみを研いで使っていこうと思った。

遠くには行きづらいので近くで探してみよう、と検索してみると、歩いて行ける範囲の金物屋さんが研ぎも力を入れてやっているようだった。

一見ふつうの金物屋なのにgoogle mapでいい評価が何件もあり、全国から研ぎの依頼が来ているらしい。

WEBサイトでも研ぎについて熱く語られていた。

 

中1日で仕上げてくれるというので早速預けて仕上がり日に取りに行った。

錆びたところがなくなってキレイになっていた。

beforeとafter載せようと思ってたけどよく撮れてなくて写真で見ても違いが分からない…悲しい。

元々動かしづらいわけではなかったのでシャキシャキと動かしてみると特別変化はなかった。

が、試し切りで手近な布を切ってみると違いがよく分かった。

以前は根元や刃先の方はあまり切れなかったのだが刃全体で切れる。

刃が布を噛むことも全くない。

力を込めなくても切れていく。

はさみって本来こうゆうものなんだなぁと実感!

これからは裁断もカーブのところは、はさみで切りたいと思うようになった。

 

お値段は1,800円。

事前に1,400円くらいかなぁと言われていたが、思ったより手間がかかったのかもしれない。

なんせ母の若い時からずーっと使われていたのだから仕方ないと思う。

 

店主の方から、今度はぜひ包丁を持ってきてね、と言われたのでそのつもり。

最近はペティナイフサイズのセラミック包丁を重宝しているが欠けたり切れなくなってきたので色々と質問してみた。

セラミックは陶器だから欠ける、と言われてなるほどなぁと思った。

ステンレス包丁も金属を固める添加物の違いにより、切れる包丁と研いでも切れない包丁に分かれるという。

おすすめを教えてもらい「それは買ったときは切れないけど研ぐとよく切れるよ!」と言われ、買ったとき切れない包丁って…?と一人で軽く笑いのツボに入った。

 

今度行くときは店頭の包丁も見せてもらおうと思っている。

包丁はもっと身近だし定期的にお世話になるような気がする。

こんなに近くに面白いお店を見つけられてよかった。

これから楽しみ。